今回のユーロ危機について、可能性としての問題点や対策について詳細に記載している文献等は多々見る機会は多いと思いますが、シンプルなまでに問題点をつきつめて得られる本質的な問題について書かれているものは見たことがありません。
様々な意見があるとは思いますが、私としては、全ての社会的問題は、以下の事に起因していると思っております。
(1)IT化、FA化等による人の仕事の減少
(2)政策のグローバリゼーション化の必要性
(経済のグローバリゼーション化により政策のグローバリゼーションが不可避となってくる)
尚、日本の困窮化の理由として、老齢化社会の到来 及び 新興国との所得格差が是正されているといった2点も加わりますが、前者は特に日本固有の問題(日本が最初に直面するという意味です)であり、後者は当然是正されるべきものであるため、解消可能な(解消すべき)問題点ではないので省略します。
(1)IT化、FA化等による人の仕事の減少
・ITとFA化に見られる省人化により、価値を生み出せる人間が減少しています。IT/FA化等が進んでも影響を受けない仕事をしている者と資本家だけは生み出す価値(のポテンシャル)を維持することができます。しかしながら、IT/FA化等により仕事を奪われた者に対し、社会は新産業を提供することが出来ないため、他に新たに価値を生み出す仕事を生み出すことが出来ず、自ずとその者の所得は減少し、よって社会全体の総需要は減少してしまいます。
(尚、仕事を奪われた者が、仮に何かの職についたとしても、それは他の者の仕事を奪ったにすぎず、社会全体としては新しい価値はほとんど創造されていないと考えてべきだろう。)
これを解消するには、この現実を認め、資本主義を「社会主義化」した新社会資本主義となり、生活保護を、今までのような超例外的な措置ではなく、所得の再分配をなす根幹をなす制度とする必要があると思います(以前に書いた本ブログの「20100907合理化社会の行く末」を参照してください)。
ただ、この前提として、最低賃金法をなくし、たとえ時給100円でも働けるようにするとともに、働いた金額が多ければ多い程、豊かな暮らしが出来る生活保護制度の確立することが必要となります。
前者について、時給100円かどうかは別として、最低賃金が撤廃されれば、今までは成り立たなかったような新しい仕事が大きく創出されるはずだからです(例えばハウスキーピングなんてのははるかに普及してゆくことでしょう)。また、やらせる仕事がないからといって、価値を全く生じないような 道路を掘り返しては埋めるような仕事は、仕事とは言えない為、ちゃんと失業させ、時給100円でも働いてもらい、社会貢献し、きちんと胸を張って生活保護を受けるようなことも必要だと思います。
こうしたことが実行されれば、未就労者も激減し、労働集約産業においても他国との価格競争力もつき、日本に限らず世界はより豊かになってゆくはずです。
(ちなみにこの豊かになったことによる税額増加分を、財政赤字を埋めた後は、産業廃棄物処理等に民間・国家の両社で負担し、次世代にこの負債をたらい回しにしないようにしてもらいたいものです。
(2)政策のグローバリゼーションが必要となっている
現在のユーロ圏を見ると分かりやすいのですが、金融制裁はユーロ全体で行いながら、政策(財政支出等)は国別に行われているため、ユーロ圏の国別に財政収支が全く異なる状況になってしまっています。
同じ話で、経済のグローバリゼーションがこれだけ進み、価値の編在が大きく生じていいる場合においては、上位概念のものが各種調整を行う必要があります。
例えば、米国の超富裕層の税率は、米国の平均的な家庭主への税率より低いそうです。これは、超富裕層の所得は、配当やキャピタルゲインによるものであり、極めて税率が低いにもかかわらず、給与所得等の労働所得は税率が高いことによるものです。
そうであれば、配当やキャピタルゲインへの税率を上げればいいんじゃないか・・・と思われるでしょうが、もし、これらの税率を上げると超富裕層は、超低税率国での課税となるように場合によっては、移住すらしてしまい、税率を上げた国の税収は更に減っていってしまうので、安易に増税は出来ないのです。
よって、国の上位概念の組織?が、世界全体の視点で各国の税制をコントロールする必要が本来あるのです。
ただ、政策のグローバリゼーションが出来ないからといっても、現実の世界はそれを、今回のユーロショックのように断続的に求めてくることでしょう。神が人類に対し最後に果たした試練である、多種の言語が存在するといった事実 及び 価値観の違い(特に中国は経済的には豊かになったと思いますが、倫理観等の醸成については数十年の年月が必要かと・・・) といった点を克服するためには、人類3世代程度の時間は必要なのではないでしょうか??
いずれにせよ、これらの変革は、人類史上最も困難なものとなるため、これらの事項が解消されない相当長期間にわたり、変革を促す痛みを相当な頻度で世界に対し与え続けることが予想されます。